歴史と文化
積木のような遊びが古くからあったことは想像に難くありませんが、1693年、哲学者ジョン・ロックがサイコロや遊具に文字を書くことで子供は楽しみながら読み書きを学ぶことができることを発表し、アルファベットブロックが生まれたのが積木の歴史のはじまりのひとつです。
世界最初の幼稚園を創設したフリードリヒ・フレーベルは、1838年に教育玩具「恩物(Froebel Gifts)」を考案しました。近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトも幼少期に「恩物」の積木で遊び、次のように振り返っています。
「数年間、私は小さな幼稚園の机の前に座っていた・・・、そして遊んだ・・・、立方体で、球で、そして三角形で。これらは滑らかなカエデの木でできたブロックだった・・・。すべて今日でも私の指先に残っている。」
また、1922年に伝説的なドイツの建築・造形学校「バウハウス」が「Bauhaus-Bauspiel」という美しい積木を製作し現在も復刻されています。日本においてもライトの弟子である建築家・遠藤新が講堂を設計した学園のために積木をデザインしました。
そして、スイスの家具職人だったクルト・ネフは1958年に「ネフスピール」を考案し、積木で有名な玩具メーカー、「ネフ社」が誕生しました。以後、ペア・クラーセン、ヨー・ニーマイヤー、相沢康夫らによって美しい積木が生み出されています。
このように積木は近代以降、現在にいたるまで、教育のツールとして考案され、遊びの道具として広く楽しまれています。
そして伝統的に積木と建築とが親和性を持っていることも注目すべき事実です。
積木の家・・・AIDA BLOCK、TOY BLOCK HOUSE
1979年から1984年にかけて積木の家という一連の住宅作品が相田武文によって発表されました。これは積木ピースを単位に建築を組上げていく設計方法で、このプロジェクトで相田は、ヨハン・ホイジンガーの「遊びは文化に先行する」という文化論を背景に真面目なモダニズム建築に「遊び心」を取り入れることに成功し、積木の家ⅠからⅩまで全10作品を残しました。この時に考案されたのが建築積木「AIDA BLOCK」です。
そして1982年、積木の家Ⅰで相田は日本建築家協会新人賞を受賞、2007年には「25年以上に亘って『長く地域の環境に貢献し、風雪に耐えて美しく維持され、社会に対して建築の意義を語りかけてきた建築物』を表彰し、あわせて『その建築物を美しく育て上げることに寄与した人々』を顕彰する」日本建築家協会25年賞を受賞しました。
積木で建築を考えることの魅力は、次の相田の言葉に表されています。
「積木遊びの面白さは、それが構築されていくプロセスに楽しみがある。記憶としての幼児時代や成人してからの経験などが入り混じって、ある暗示的な物体がつくられる。しかしながら、積木はそれが崩れるときの衝撃も大きい。その瞬間の崩壊はある種の快楽と遺憾が錯綜する。構築と崩壊、安定と不安定、生と死・・・。」
積木の新しい活動・・・TOY BLOCK PROJECT
積木の家Ⅹから30年後の2014年、相田武文と土居志朗によって「積木の家」は「TOY BLOCK PROJECT」として新たに動き出しました。30年の時を経て「デザイン」が一般化した今日においては、遊び心を求めることに加えて、積木遊びを通じた作り手と使い手が融合する新しい関係性・インタラクションとそこから生まれる新たな総合(建築、都市、環境・・・)に「TOY BLOCK PROJECT」は関心を向けています。
今後展開して行く活動・プロジェクト
●積木の家(積木を用いたユーザーとの協働による建築設計)
●積木のまち(積木を用いたまちづくり・ワークショップ、子供の総合学習)
●積木の世界(プロダクト・コンテンツの製作・販売・配信等)
※TOY BLOCK PROJECTにご興味のある方はお問合せください。CONTACT